タッチケアとは・・
ホームページ上の『「タッチケア」とは&教室の内容』のページにもあるのですが、もう少し書き足してみました。
合わせて読んでいただければ嬉しいです。
《タッチの重要性について》
研究結果からタッチには、成長・発達・精神面での健康に多大な影響を及ぼすとされています。
「子どもの頃、愛情をこめてたっぷりと触れられたかどうかが、その子どもの人格形成に大きな影響を及ぼし、その人の人生までも左右する」とまで言われています。
タッチが少ないと、子どもの成長・発達・精神的満足に影響を及ぼし、子どもの認識・精神発達に大きな遅れが認められるようになります。
そして、幼児期のふれあいの少ないことが、成人後の暴力的行為の発現につながることを示唆するデータもあります。
大切なのは「ふれる」ことで、特別なイベントをすることではありません。日頃のスキンシップです。
子どもには、お父さんお母さんに愛されたい・認められたい・受け入れられたい・安全な場であって、安心したいという基本的欲求があります。
それは目を見つめ、やさしく語りかけられ、触れる・抱っこやハグなどのスキンシップによってお互いに癒され、安心感と満足感、そして幸福感で満たされます。
子どもは、自分の存在を肯定的に捉えることができるようになります。
《なぜタッチか》
人が外界の出来事を察知するための感覚が、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感です。
この五感の中でまず発達するのが、皮膚感覚・触覚です。
「皮膚は露出した脳」とも言われ、発生学的には脳と同じ外肺葉から作られています。
外界から皮膚への様々な刺激は、脊髄から脳を経て、他の分野と連動して精神や情動・自律神経・免疫・ホルモン・生体リズムに影響を与えています。
これらはお互いに影響し合っており、心地よい感覚を伴う「ふれあい」によって、心拍数・血圧・ストレスホルモンの低下などが起きます。
タッチすることで赤ちゃんの皮膚に心地よい刺激を与え、血管・筋肉・脳の視床下部を介して、オキシトシンというホルモンを分泌させ、心身を活性化させることができます。
《タッチで分泌されるオキシトシンの働きについて》
出産や授乳中に活躍するホルモンで知られていますが、圧をかけながら一定の間隔で触れることで脳下垂体後葉から分泌されます。
このホルモンは触れられる人だけでなく、触れる人にも分泌されます。
そして、人を信頼したり、人との相互作用などの社会性をつかさどる部分に働きかけると言われています。
互いの信頼関係を築き、母子や夫婦の愛情を深める働きをもつ「愛情ホルモン」として、世界中の研究者に注目されています。
他には抗不安薬様の作用(鎮静作用)をもたらし、ストレスホルモン濃度を低下させたり、消化・体重増加・成長・治癒を促進することが明らかにされています。
《タッチケア(マッサージ)の効果をまとめると・・》
・互いに愛着が増し、良好な母子関係づくりに有効
・マッサージによって細胞の成長が促進し、成長ホルモンの働きが活発になる
・血液・リンパの循環が良くなる
・マッサージによって迷走神経の働きが活発になり、食物吸収ホルモンの生成を促し、消化管の働きが活発化し、栄養素の消化・吸収・蓄積が促進され、体重増加が良好になる
・オキシトシンの分泌により、ストレスホルモン濃度が低下し、ストレスが軽減される
・オキシトシン分泌によって鎮静効果が得られ、情緒が安定し、泣く回数や不快を訴える回数が減る。イライラしたり、むずがる様子が減る
・寝つきが良くなり、質の高い睡眠時間の増加・延長が得られる
・皮膚の適度な圧迫により迷走神経の緊張が上昇し、親への反応性が良くなる
・マッサージは、気質面における情動性・社会性・柔軟性の向上と結び付けられており、アイコンタクト・笑顔・発声・手を伸ばしたり、指差しなどの反応の増加や探索行動の増加がみられるようになる。
・オイルを使うことで快適さや肌の保湿効果が得られる。また、マッサージ施術の質も向上し、各効果が高まるなどオイルの有用性も示されている
他には・・・
・免疫機能の向上、病気への抵抗性、治癒の促進が研究データから実証されている
・アメリカのNICUで、治療プログラムにマッサージ療法を採用しているところもあり、小児の肺機能を改善することも明らかにされている
・慢性疾患を有す子どもの症状改善にも効果を発揮
そして・・・
タッチする側にも得られる効果として(オキシトシンが分泌されて・・)
●祖父母の方であれば・・
・ストレスホルモンの低下と不安や抑うつ的な傾向が軽減し、気分が良くなる
・睡眠の質が高まり、ライフスタイルが向上する
・嗜好品の摂取量が減り、社会との接触が増え、ひいては受診回数が減少する
・自尊感情が向上するなど
お孫さんとのコミュニケーションツールとして、祖父母の方にも教えてあげてください(^-^)
●お父さんは・・
・喜びや温かい表情が豊かになり、そして受容的になる傾向へ
・赤ちゃんもお父さんに対して多くアイコンタクトをとるようになり、笑顔や発声が増える
・お父さんに近づきたがるようになる
●お母さんは、何よりも産後うつ症状の発現が減少
その他の場面で・・
●保育園で取り入れているところでは、
・問題児のトラブルが減少
・午睡時の入眠効果
●自閉症などの発達障害児施設で取り入れることによって、触られること・触ることに慣れるなど・・
●がん患者さんなど療養中の方(緩和ケアの場など)は・・
・ストレスホルモンの減少
・抗不安薬様の作用(鎮静作用)をもたらし、無痛閾値を上げる
・不安感・痛み・怒りの減少
・免疫力の改善
続けることで、様々な効果が得られることが報告されています。
「愛された記憶がはぐくむ子どもの育ち」と「愛していると伝える行為」・・
親子のふれあいのツールとして、タッチケアを知っていただけたら幸いです。
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